2016

COLORS
NANATASU GALLERY

インクを落としてできた偶然の形を集め、再配置し彩色した作品。
テラスにはバルーンを浮かべたインスタレーション。
バイオリン、ギター、アコーディオンの3人からなる「代官山王国」によるライブを行った。

 

『飛べないはずの鳥は -明円光「COLORS」をめぐって』

 明円光といえばラバーダック、所謂「おもちゃのあひる」である。個展を訪れるたびにその群れに迎えられること数回。いつしかこのモチーフは作家の出身地・北海道を舞台とした「幸福の 黄色いハンカチ」の感動的なラストシーンと筆者の脳内で重なり合い、有名な絵画作品等に着想 を得たシリーズのヴァリエーションとして「ハンカチの代わりに彼らが隊列をなして青空を泳ぐような光景」を描いてくれないかしら、とさえ勝手に思っていた。
 その作家が、あひるから離れる決意をした。さらには、あひる以上に長く関わってきた油彩技 法や着実な具象表現とも距離を置き、偶然性や不確かさも取り入れながら新たな表現を探求しているという。今回の個展では「カラフル」をテーマに制作したなないろの水彩やオープンエアーのインスタレーション等を発表。子ども達のためのワークショップも用意され、オープニングには音色という色も添えられる。
 そんなわけで、飛べないはずの鳥はあっという間に彩りのたわむれへと昇華してしまった。あのキュートな瞳やくちばしにもう会えないのは少し淋しい気もするけれど、本人曰く、個展を「 ハッピーな空間」としたい気持ちはこれまでと変わらないとのこと。
空即是色色即是空。しばしその変容の様子を眺めることにしよう。
(文・山内舞子/キュレーター)